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臨床推論だけじゃない|Semantic Qualifierとは

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↻ 2021.06.28/2021.06.12
こんな人におすすめ

バシっと診断できると格好いいよな.
でも診断学ってムズカシイ...
Semantic Qualifier??なんかの技ですか?

診断学だけじゃない.

セマンティック・クオリファイアーとよみます.

おもに臨床推論の診断プロセスで使われる用語です.

そしてこのSemantic Qualifier,使いこなすことで診断能力だけでなく症例プレゼン・コンサルトも上手くなります.

あなたもSQを使いこなしてデキレジになりましょう.

Semantic Qualifier(SQ)とは

Semantic Qualifier(SQ)は,

「患者に関する情報を,普遍的な医学用語に置き換えたもの」のことをいいます.

たとえば,

40歳男性「昨日の朝から左膝が痛くなって,赤みと熱があります」

何の疾患か分かりましたか?

もちろんすぐに思い浮かぶ人もいるかもしれませんが,「これだと何だか分からない」という人が大半じゃないでしょうか?

  

問診のとき,患者さんは日常的な言葉で症状を訴えます.

しかし,ただ患者さんの言葉を繰り返しているだけでは,診断にたどり着きません.

鑑別疾患を限定するのに役立つ,医学キーワードに変換する必要があります.

 

では,これをSQに置き換えるとどうなるか.

「昨日の朝から(急性)左膝(単関節)が痛くなって,赤みと熱があります(炎症)
SQ:急性単関節炎

さっきはピンとこなかった人も,急性単関節炎という医学用語を聞くと

「化膿性関節炎?」「偽痛風?」と鑑別疾患が思い浮かんだと思います.

 

SQには,疾患を想起させるメリットがあります.

仮に思い浮かばなくても,”急性単関節炎”というワードがあれば,参考書やGoogle先生,PubMedをつかって調べられます.

患者さんの言葉(主観的情報)をSQ(客観的情報)に置き変えることで,鑑別疾患を絞ることができるのです.

SQは症例プレゼンにもつかえる

SQは,症例プレゼンやコンサルトの場でも威力を発揮します.

症例プレゼン・コンサルトの極意は,「相手に負担をかけない,迅速かつ適切な情報伝達」

SQを使って病歴をまとめると,情報がコンパクトになり,医療者間でのコミュニ―ケーションも取りやすいです.

 

救急外来でのコンサルトを例にしてみましょう.

20歳男性,急性進行性麻痺(SQ)をきたした患者の,入院を相談させてください
5日前から進行する四肢の脱力で受診されました.
鶏肉の摂食歴があり,2週間前には下痢症状があったとのことです.
採血や頭部CTであきらかな異常がなく,髄液検査で蛋白細胞解離を認めます.
ギラン・バレー症候群を疑うため,入院適応の判断をお願いします.

冒頭で「SQ:急性進行性麻痺」を使うことで,

聞き手は「今から急性進行性麻痺の病歴要約が始まるんだな」と心の準備ができます.(メンタルモデルの形成)

また同時に,”急性進行性麻痺”をきたす,いくつかの疾患が思い浮かびます.(疾患の想起)

  ※メンタルモデルとは,聞き手なりの話の理解のこと.

 

メンタルモデルが作られ,かつ”疾患が想起できているため,後に続く詳細な情報をスムーズに理解できます

SQを用いることで,電話口でのコンサルトでも「わかりやすい」説明が可能になるのです.

よく使うSQを知っておこう

SQがいろんな場面に使えることは分かった.
でも,どんなSQがあるのかが分からないと,変換できないよ.

という人のために,頻用SQを紹介します.

よく使うSQ
時間経過:突発,急性,慢性,緩徐,一過性,再発性,周期性
部位:全身性,対称性,びまん性
進行形式:進行性,移動性
胸腹部:絞扼,感吸気時痛,疝痛
筋骨格:単,多発,関節痛,関節炎
神経:多発神経炎,多発単神経炎

もちろんここで紹介したのはごく一部です.

知っているSQが多いほど,症例ごとにぴったりの表現ができるようになります.

他にどんなSQがあるのか,ぜひ調べてみてください.

 

まとめ

以上,SQが臨床推論やプレゼン,コンサルトに有用だという話でした.

知ったその日から劇的に診療が変わる便利なものではありませんが,長い目でみると確実に違いがでます.

日頃から,SQで表現することを心がけましょう.

SQは,臨床像を医学用語で表したもの
臨床推論だけでなく,コンサルトでも有用
よく使うSQを知っておこう