うまい報告は全部コレ|SBARの使い方


さいきんSBARって言葉をよく聞くけど,結局なんなんだ?入職者研修で説明されたような気もするけど...覚えてない.
医療の現場では,すばやく漏れのない情報伝達が必要です.
容体急変などの緊急時は,的確な報告をできるかどうかが,患者さんの命を左右します.
SBARは,そんな医療界での情報伝達法の1つ.
B:background(背景)
A:assessment(評価)
R:recommendation(依頼)
4つの順に情報を伝えることで,迅速な情報伝達ができます.
かつて軍隊で行われていた『ブリーフィング』を,臨床医学にもちこむことで生まれました.
※ブリーフィング(briefing):要点を伝えるための簡潔な報告のこと
もとは軍隊用語ですが,時間に厳しい航空業界,さらにはビジネスシーンでも広く使われています.
ではさっそく,SBARが有効なシチュエーションをみていきましょう.

場面①看護師の報告(医療安全)
よく使われるのは,看護師 → 上司や医師への報告の場面.
入院患者の◯◯さんからナースコールがありました.部屋にかけつけると,とても苦しそうにしていました.診察をすると,高度の喘鳴があって,SpO2(%)も低下していました.吸入薬を使ってもらいましたが,どんどん悪くなっているみたいです.
(S)入院患者の◯◯さんが,呼吸困難です.高度の喘鳴があり,SpO2(%)も低下しています.(B)◯◯さんは,昨日喘息発作で入院された方で,日中の状態は安定していました.(A)おそらく喘息発作の再燃で,さらに悪化しそうです.(R)至急,診察しにきてください.
報告する相手が,あらかじめ◯◯さんの状態を把握しているとは限りません.
「何の疾患で,いつ入院した人なのか」「どうしてほしいのか」
どちらの説明が状況を把握しやすく,依頼内容が伝わりやすいかはあきらかですね.
医療安全の観点からも,的確に情報を伝えるSBARは必須フレームワークなのです。
場面②救急コンサルト
SBARの型は,救急診療でも有効です.
救急コンサルトでは,電話越しの専門医に「どんな患者さんで」「何をして欲しいのか」を的確に伝えないといけません.
とまとめることで,伝わるコンサルトをすることができます.
場面③カンファレンス
大学病院など教育目的のカンファではフルプレゼンを求められることが多く,SBARで表現するのは難しいかもしれません.
一方,市中病院で行われるカンファは,たいてい「情報共有+相談」目的のショートプレゼンです.
定期カンファのショートプレゼンでは,SBARが応用できます.
カンファで症例提示がうまい人は,だいたいSBARに沿っています.
あなたも是非取り入れてみてください.

以上,SBARが有効な3つの場面を紹介しました.
別にこれがすべてというわけではなく,SBARに沿ってない良い報告はたくさんあります.
しかし,知っているだけでうまくなるSBAR,使わない手はありません.
もしあなたが,説明することに苦手意識を持っているならなおさらです.
SBARを駆使して,伝わる報告・症例提示を手に入れましょう.
医療安全,コンサルト,カンファなど色々な場面で有効
日頃からSBARを使おう